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こんな症状に注意!20代〜30代の女性が気をつけたい病気とセルフチェック

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就職、結婚、妊娠、出産、育児——20~30代の女性には、さまざまなライフイベントが訪れます。忙しさから自分の体と向き合う時間が取れず、ちょっとした違和感や体調不良をそのままにしている方も多いのではないでしょうか。病気とは縁遠いと思われがちな20~30代ですが、実は「月経関連の病気」や「甲状腺の病気」などの発症リスクが高い年代でもあります。健やかな毎日を送るためにも、同年代の女性が気を付けたい病気やその兆候を事前にチェックし、体の異変にいち早く気付けるようにしておきましょう。

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コラムサマリ

-この記事のまとめ

 1.若いのになぜ?20~30代で体の変化が起こる理由

   1-1.①環境の変化によるストレスや疲れ

           1-2.②妊娠・出産にかかるホルモンバランスの急激な変化

 2.女性特有の病気に注意!20~30代女性が気を付けるべき症状とは

   2-1. ①不妊も原因にもなる、月経にまつわる病気

   2-2. ②甘く見ると危険!注意すべき貧血症状

   2-3. ③体重増加やイライラも…甲状腺にまつわる病気

    3.自分の体を“ご自愛”してあげよう

本文

若いのになぜ?20~30代で体の変化が起こる理由

20~30代は病気や体調不良とは無縁だとイメージされがちですが、「毎日体が重くてダルイ」「最近疲れやすくなった」といった“体の変化”に悩まされる女性も少なくありません。ではなぜ、年齢的に若いにもかかわらず、そのような異変が生じるのでしょうか。

①環境の変化によるストレスや疲れ

就職、結婚、妊娠·出産など、人生に大きな影響を与えるライフイベントが次々に訪れる20~30代。体に異変が生じる最大の要因は、こういった“環境の変化”にあります。「仕事が波に乗ってきたから少し激務でも頑張ろう」「結婚によって新生活が始まった」「育児が大変で睡眠不足が続いている」など、些細なストレスや疲労感などが蓄積することで、体に変化が生じやすくなるのです。

②妊娠・出産にかかるホルモンバランスの急激な変化

妊娠·出産によるホルモンバランスの変化も大きな要因のひとつ。妊娠中に以前(妊娠前)の10~100倍まで高まった女性ホルモン(エストロゲン)は、出産後にはゼロに近い状態にまで低下します。次第に妊娠前のホルモン状態へと回復していきますが、期間や程度には個人差があり、すぐに楽になるわけではありません。

<女性ホルモン(エストロゲン)減少による影響(一例)>

  • 物忘れ
  • うつ症状
  • 疲労感
  • 頭痛
  • ほてり
  • 肩こり
  • 心血管疾患のリスク増加
  • 乳房の萎縮
  • 骨量の減少
  • 排尿障害

女性特有の病気に注意!20~30代女性が気を付けるべき症状とは

ストレスやホルモンバランスの急激な変化によって、体に異変が起こりやすい20~30代の女性。年齢的には若いものの、女性特有の病気や甲状腺の病気の発症リスクが高い時期でもあります。ここからは、同年代の女性が特に気を付けるべき病気や症状について詳しく解説します。

①不妊も原因にもなる、月経にまつわる病気

20~30代の女性にもっとも多いのが、月経関連の病気です。“生理=ツラいのが当たり前”と思っている方も多いですが、起き上がれないほどの腹痛や吐き気、月経周期の異常、生理前のメンタル不調などの背景には、「子宮筋腫」や「卵巣嚢腫」、「PMS(月経前症候群)」や「PMDD(月経前不快気分障害)」といった病気が潜んでいることも。症状がツラい場合には自己判断をせず、医療機関を受診して医師の判断を仰ぐようにしましょう。

<子宮筋腫>

子宮を構成する不随意筋(=平滑筋)にできる良性腫瘍で、20~30代の若い層から閉経後まで幅広い年代に見られる疾患のこと。主な症状は過多月経や過長月経、月経痛、貧血などですが、筋腫が小さなうちは無症状であることもしばしば。筋腫が成長して周囲臓器を圧迫した場合には頻尿や便秘、腰痛なども生じ、発生場所や大きさによっては受精卵の着床や排卵にも影響を及ぼします。

<卵巣嚢腫>

卵巣内に発生した腫瘍のことで、大きいものでは30cm以上になることもあります。主な症状は腹部膨満感や下腹部痛、頻尿などですが、小さなうちは無症状のケースが多く、嚢腫が成長するまで気付かないケースがほとんど。ひどい場合には嚢腫が破裂したり、卵巣が根本からねじれたりして(=茎捻転)、激しい腹痛を生じさせます。

☆ライター山本の摘出レポ☆

26歳のとき、下腹部痛が気になり病院へ。8cm近い卵巣嚢腫が左右の卵巣にできていました。数年前から生理がツラいなと思っていましたが、まさか自分が病気だったとは!茎捻転のリスクもある大きさだったので、診断の翌月には総合病院で腹腔鏡手術を受けました。手術費や室料差額、その後の薬代と出費がかさみましたが、不幸中の幸いは「女性疾病保険」に加入していたこと。自分は大丈夫だろうなと思いつつ、念のため加入しておいた“数年前の自分”に感謝しきりでした。

<子宮線筋症>

子宮平滑筋組織内に子宮内膜に類似した組織ができる疾患のことで、主な症状は月経痛や過多月経など。子宮内膜と同様、子宮筋層内で増殖と剥離を繰り返すことで、子宮筋層が次第に厚みを増していきます。症状が進行すると子宮増大が見られますが、症状が類似している子宮筋腫との鑑別が難しいケースも多いようです。

<多嚢胞性卵巣症候群>

途中で成長が止まってしまった⼩さな卵胞が数十個単位で卵巣内に残留する病気で、タンパク質ホルモンであるゴナドトロピンの分泌異常や男性ホルモン過多が要因だと言われています。主な症状は月経異常や排卵障害、肥満、血糖値の上昇など。長期間治療しなかった場合、子宮体がんやメタボリックシンドロームなどのリスクが高まるため注意が必要です。

②甘く見ると危険!注意すべき貧血症状

日本人女性全体の約10%、月経のある女性(20~40代)の場合は約25%もの人が貧血だと言われています。実際に、血液検査時に貧血を指摘された経験がある方も多いのではないでしょうか。

“貧血=血が少なくなった状態”とイメージされますが、実は血液量ではなく、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが少なくなった状態を指しています。体のすみずみにまで酸素を運ぶ同成分が減少することで組織が酸素不足となり、体の不調が表れるのです。

<貧血による影響(一例)>

  • めまい
  • たちくらみ
  • 動悸や息切れ
  • 頭痛
  • 倦怠感や疲労感
  • 耳鳴り
  • 口内トラブル

一口に貧血といっても、その原因はさまざま。甘く見られがちな貧血ですが、背景に恐ろしい病気が潜んでいるケースもあります。「体質だから仕方ない」と放置せず、異常を感じた場合には医療機関を受診するようにしましょう。

<病気による鉄欠乏性貧血>

鉄分の消費量が摂取量を超えたときに生じる「鉄欠乏性貧血」。思春期には体の成長や月経によって一時的な鉄欠乏が生じやすいですが、成人後にも鉄欠乏性貧血が続く場合には婦人科系や消化器系の出血なども考えられます。子宮筋腫や子宮腺筋症など、女性ならではの病気にも注意しましょう。

<授乳による貧血>

赤ちゃんに母乳を与えている場合、栄養不足による貧血を起こす可能性があります。授乳期の貧血は産後の回復の遅れや体調不良の原因にもなるため、意識的な鉄分摂取がマスト。食事で補えない場合には、授乳期に服用できるサプリメントを併用するのも一案です。

<産後の貧血>

分娩時の出血のほか、悪露(子宮内膜や分泌物の排出)や痔などによって貧血になりやすい産後。あくまで一時的なものなので、食事やサプリメントなどで積極的に鉄を摂取していれば、1~2ヶ月程度で改善すると言われています。

③体重増加やイライラも…甲状腺にまつわる病気

20~30代の女性が発症しやすい病気としては、全身の臓器に作用し新陳代謝を盛んにする「甲状腺ホルモン」の異常も挙げられます。同ホルモンが過剰に産生された状態を「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)」、著しく少なくなった状態を「甲状腺機能低下症」といい、男性よりも女性の発症率が高いのが特徴です。一説によると、20~40代女性の20人に1人は、なんらかの甲状腺ホルモン異常を抱えているとも言われています。

<バセドウ病の症状(一例)>

  • 発汗や動悸
  • 指の震え
  • 疲労感
  • 体重の減少(食欲増加)
  • 軟便、下痢を繰り返す
  • コントロールできない怒り、イライラ
  • 月経不順

新陳代謝を司る甲状腺ホルモンが過剰分泌されることにより、身体的な不調はもちろん精神面にも影響が表れます。症状がひどくなった場合には、甲状腺のある喉仏付近の腫れや眼球突出がみられる場合も。内服薬のほか、放射性ヨウ素内用療法や甲状腺摘除術による治療が行われます。

<甲状腺機能低下症の症状(一例)>

  • 無気力や気分の落ち込み
  • 強い疲労感
  • 全身のむくみ
  • 寒がり
  • 体重増加
  • 動作緩慢
  • 記憶力の低下
  • 便秘

甲状腺ホルモンの分泌量が減少することにより、心身の疲労感が高まる「甲状腺機能低下症」。妊娠や出産にも大きく影響するホルモンであるため、数値によっては不妊や流早産、子供の成長や発達の遅れにも関係します。

☆23歳でバセドウ病を発症(A.Nさん)☆

23歳の頃、手の震えや動悸が半年以上続いたため病院へ。検査の結果「バセドウ病」だと診断されました。服薬治療では改善が見られずアイソトープ治療を選びましたが、治療数ヶ月後から次第に「甲状腺機能低下症」の症状が表れるように。数年経った現在も服薬管理が必要で、2~3ヶ月に1度は定期検査を受けています。当時、慢性的な疲労感や体重減少、手の震えなどを“仕事がしんどいせいだ”と自己判断してしまったことを後悔…。反省を生かし、現在はちょっとした不調でも違和感を覚えたらすぐに受診するようにしています。

忙しいからこそ、自分の体を“ご自愛”してあげよう

せわしない日々のなか、「気持ちが沈むけどそれは気持ちの問題」「急に太ったのは運動不足のせいかな」「最近疲れやすいけど、まあいっか」と片付けてしまっていませんか。仕事や家事、育児、パートナーとの時間…大切な瞬間も多いですが、それらはすべて“健やかな体”があってこそ。婦人科系や甲状腺の病気、貧血のリスクが高い20~30代の女性だからこそ、自分を労わりケアする時間を持つようにしましょう。

この記事の執筆協力

執筆者名

山本 杏奈

執筆者プロフィール

金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。

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